ドローンを活用した防災・災害時の対策とは?自治体による事例やメリット
2025.3.30

自然災害が多いといわれる日本ですが、そんな災害の現場では現在、ドローンの活躍が目立っています。ドローンは、人やヘリコプターが立ち入れない場所や危険な場所でも作業ができるため、重宝されているのです。
この記事では、災害現場におけるドローンの活用法やメリット、自治体の活用事例をご紹介します。
災害時のドローン活用方法
自然災害や火災が発生した際、さまざまな場面でドローンが活躍します。ここでは、災害現場におけるドローンの活用方法を見ていきましょう。
被害状況の確認
災害が発生した時、真っ先に被害状況の確認が行われます。しかし建物の倒壊や火災の発生などにより、現場に人やヘリコプターが近付けないことも多いです。
ドローンはそのような場所にも入ることができ、安全かつ迅速な調査が可能です。
情報収集
災害現場周辺のマップを作成したり、安全管理を行ったりするためには、発災直後から情報を集めなければなりません。
ドローンを活用すれば、空撮や測量によってデータを収集可能です。また、上空から被災地を常時監視することで二次災害の防止にもつながります。
ハザードマップの作成
ハザードマップ(被災マップ)とは、自然災害による被害の軽減や防災のために、被災想定区域や避難場所、避難経路などの位置を示した地図のことです。災害発生時には、迅速なハザードマップの作成が求められます。
このハザードマップの作成にもドローンが大いに役立っています。ドローンの空撮映像や3次元測量データを用いれば、災害発生直後にハザードマップを作成することが可能です。
被災者の捜索
逃げ遅れた被災者の捜索にも活用されています。ドローンはヘリコプターと比べて飛行高度が低いため、より鮮明な映像を撮影でき、被災者を発見しやすいのです。
一般的な映像・画像を撮影する光学カメラ以外にも、温度を検知する赤外線カメラや、スマホの電波を検知する機器を用いて捜索できます。
物資輸送
被災地への物資輸送もドローンの重要な役割です。道路が寸断されて孤立した地域やヘリコプターが着陸できない場所があっても、ドローンで医療用物資や食料、生活用品を届けることができます。
一般的な輸送用ドローンのペイロードは5kg程度です。2024年には三菱重工がペイロード200kgの中型ドローンを発表しており、災害現場での活躍が期待されています。
災害発生時にドローンを活用するメリット
災害現場でドローンを活用することには多くのメリットがあります。一つずつ確認していきましょう。
迅速な対応が可能
通常、ヘリコプターが出動する場合は準備に時間がかかります。しかし、ドローンであればオペレーターが機体を操作するだけで済み、迅速に出動できます。
ドローンは飛行速度も速く、目的地に素早く到着することが可能です。通常のドローンでも時速70〜90km程度まで出すことができ、中には時速100kmを超えるドローンも存在します。
リスクを抑えて救助活動ができる
従来の災害現場では、救援者が二次災害に巻き込まれる恐れがありました。ドローンを利用することで、危険な場所に人が立ち入る機会を最大限減らし、救援者のリスクを抑えることができます。
また、ドローンで上から被災地域を撮影することで、安全な避難場所や救援できるルートを確認できます。
正確な情報を収集できる
ドローンは鮮明な画像や動画を撮影したり、3次元測量を行ったりすることができます。これにより、従来と比べて被災地の正確な情報を得られるようになりました。
複数のドローンを稼働させることで、広範囲の情報を素早く収集することができます。
導入・維持コストが安い
ヘリコプターなどの有人航空機と比べ、ドローンは購入費やメンテナンスのコストが安いこともメリットです。
ヘリコプターより操縦が簡単でパイロットの育成も難しくないため、人材コストも比較的安価といえます。
災害現場におけるドローンの活用事例
消防庁の調査によると、2021年時点6月でドローンを活用している消防本部は383か所で、活用率52.9%に上っています。
ここでは、災害現場における実際のドローン活用事例を2つご紹介します。
長野県長野市の事例
長野県長野市では、2023年7月から災害用ドローンの運用が開始されました。長野市は土地の約4分の3を中山間地域が占め、災害発生時には集落の孤立が懸念されています。実際に「令和元年東日本台風災害」の際は甚大な被害が出てしまいました。
こうした背景から、同市は災害対策の一環としてドローンを導入し、新たに市職員11名による災害支援ドローン隊が編成されました。発災時の情報収集や被災者の捜索、孤立集落への物資の運搬などにドローンを活用する計画です。
岐阜県郡上市の事例
岐阜県郡上市は山林が多い土地条件で、特に火災発生時の状況把握が課題です。木々に視界を遮られたり、通信障害が発生したりして、行方不明者の捜索が困難になると予測されています。
そこで同市の消防本部は、2022年4月にドローンを導入しました。火災発生時、ドローンで上空から撮影することによって、延焼範囲などの状況確認がスムーズになります。
出典:消防庁消防・救急課「無人航空機の災害時における活用状況等調査について」出典:経済産業省「自治体によるドローンの活用事例集(富山・石川・長野・岐阜・静岡・愛知・三重)」
今後も災害現場でドローンの活躍が期待されている!
ドローンは小回りが利くため、人やヘリコプターが立ち入れない場所に入ることができ、地震や火災の現場で活躍しています。ヘリコプターと比べて迅速に出動でき、コストも抑えられるなど、さまざまなメリットがあり導入する自治体が増えているのです。
災害大国といわれる日本だからこそ、ドローンを活用した災害対策はますます重視されるでしょう。
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